何もない中山間地。日本のどこにでもある、ごくありふれた風景。
しかし、そこには大地と向き合い、真摯に暮らす人々がいる。
総人口3,793人の小さな町。その中のさらに小さな集落。
そこが、私の心の故郷であり、母の本当の故郷である。
山口県錦町向峠。
私の知る限り、戦後2度の大型公共事業により発展してきた町。
昭和37年、深谷大橋の完成。
島根県と山口県を結ぶ大動脈で、深谷集落にとって隣の集落と繋がった記念すべき橋。
昭和58年、中国自動車道の開通。
宇佐郷を通り抜け、大阪と九州を結ぶ高速道路。
関西に住む私達一家と故郷を繋いでくれた道。
これ以降、長い休みの度に帰郷することができるようになった。
そして、現在。
平成18年、市町村合併で岩国市となった。
平成22年、集落営農組織を立ち上げ、未来に向けて一歩を踏み出し始めた。
将来、再び集落に子ども達が帰ってくることを夢見て。